保険事故の処理と保険代理店

自動車保険契約は損害保険会社との自動車ユーザーの直契約か損害保険代理店を通しての契約になりますが、事故処理は契約している損害保険会社が行います。

自動車保険の事故の処理は損害保険会社の損害調査を行う、通常、損調と呼ばれている部署を通して行われます。

自動車保険が損害保険代理店を通して募集されていた時代から、損害保険会社が自動車保険を直接募集するようになった今現在でも自動車事故の処理は損害保険会社が行っています。

そのため、事故報告は損害保険代理店を通して損害保険会社へ行っても、自動車保険証券に記載されている事故報告の損害保険会社の連絡先へ行った場合でも、同じように損害保険会社の損調が事故の調査を行い処理をしています。

損害保険代理店は損害保険会社から損害保険の募集業務を委託されているだけのため、その損害保険代理店の自動車保険契約者が事故報告を代理店を通して行った場合でも事故処理は損害保険会社によって行われます。

自動車保険の募集の多くが損害保険代理店を通して行われていた時代でも事故処理の流れは変わらないのですが、保険契約者の事故処理に対する不満や無理難題を損害保険代理店を通して損害保険会社の営業店から損調へ伝えられるようなこともあったようですが、損害保険代理店と損害保険会社との力関係が規制緩和後に変わってきているようなので保険契約者の事故処理に対する無理難題は通らなくなってきているようです。

損害保険代理店は保険募集を委託されているため、それを管轄しているのは損害保険会社の営業店になり、事故処理に直接的に関わることは出来ないのですが、損害保険代理店の通常業務(保険契約の新規募集や保険契約の更新)は集金を新規契約申込用紙への署名くらいしかないので、事故処理をあたかも損害保険代理店自身がしているような印象を与える振る舞いが以前には少なからずも在ったようです。

保険は安心やもしもの時の補償を保険料と引き換えサービスとして提供している無形のサービスなため、契約者にとっては事故がなければただお金を支払っているだけと思われそうな側面もあります。そのため、事故が起きたときは損害保険代理店が保険募集の委託業務を超えて事故に直接関わろうとする行為があったようです。

事故が無ければその業務は集金をしているだけのようなので、事故が有ったときにはその保険契約者に特別のサービスを提供し自分のところで契約していたから事故処理を有利に進めることが出来たとの印象を植え付け、次回保険契約の更改(継続契約)を有利に進めようということでもあったようです。

実際には保険会社の損調が事故の相手方へ事故の確認の連絡等をするのですが、損害保険代理店が事故の相手方へ連絡をして過失割合やその他の事故処理を有利に進めるための圧力をかけるような越権行為が多くあったようです。

通常、過失割合が事故当時者双方にある場合では当事者双方が自分に有利な主張をするのはよくあることであり、損害保険代理店が当事者片側だけの利益を代弁するような話をすれば、それをされた相手方の感情を害することは当然であり、火に油を注ぐことと同じになります。

事故は当事者双方にとっても嫌なものであり、早期に解決を望むのは言うまでもないのですが、自分側だけが有利に事故処理を進めようとし、当事者双方が無理を通そうとする事例も多いようです。過失割合は判例を元に過失の割合を事務的に適応されることが多いため、起きてしまった事故を客観的に振り返り、客観的に事故に対する自分の過失を認めることが、示談交渉をスムーズに進め、早期に事故処理が終わることになる場合もあるようです。

損害保険代理店から損害保険会社の直接募集へと変わってきている状況の中では、契約者を多く持つ大型代理店であっても営業店を通して損調に圧力をかけることは難しくなってきているようなので、こういうケースは少なくなっていくように思います。

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