自動車事故の保険金不正請求

ここのところ特定の会社が自動車事故の保険金不正請求でテレビで徹底的に叩かれているようだが、このような自動車事故の保険金不正請求は大なり小なり他の業者も行っていた古い手法のようだ。

 

保険金の不正請求には事故そのものをでっち上げ保険金を不当に請求する悪質なものや事故により損傷した箇所の周辺まで見積もりに入れて請求する過大請求などがある。

通常、事故の査定には保険会社のアジャスターが現車を確認し、見積もりを修理をする事業者に提示するが、10万円以下の単純な事故は写真見積で済ませることもある。この場合でも事故状況と現車の損傷状態が大きく食い違い場合にはアジャスターによる現車確認となる。

それ以外の10万円以上の場合にはアジャスターによる現車確認となるのでそう簡単に過大請求をするのは難しいように思われる。鋭利なもので車体を傷つけるまたはサンドペーパーで傷をつけるなどで損傷部位を増やす行為は物理的には可能だが、事故状況と損害箇所の食い違いや損傷個所の状態も接触した物と食い違うことになる。簡単に言えば事故状況と現車の損害状態が一致しないことになる。この不自然な状況を、毎日事故調査を続ける事故調査のプロであるアジャスターが容認して見積もりを受け入れることはないと思われる。

 

車が売れ保険契約が増えていったバブル経済以前の景気の良い時代には10万円以上の事故でも事故状況と見積りの内容が大きくかけ離れていなければアジャスターが現車確認しない場合も有り、部品は全て新品、少しの傷でも部品交換、通常工賃の割増など保険事故は儲かるといった状況があった。バブル崩壊後は事故査定が厳しくなり、少しの傷は修理となり交換部品も多く流通している車種では中古部品での交換を求められるようになった。、また、低年式の車では修理の見積もりをせず新車価格の10%までしか損害を補償しないとする要求までされるようになった。

このような状況で故意に車体を傷つけて事故状況と異なる過大な保険金の不正請求ができるのだろうか?また、不正請求が常態化すれば当然保険会社から目を付けられるようになるので不正請求がしづらい状況に追い込まれることはなかったのか?それが常態化していたのであれば保険金詐欺として保険会社から警察へ被害届が出された事例はなかったのか?

通常、自動車販売店は損害保険の代理店でもあるので自社の保険契約者の事故も多く取り扱っていたと思われる。以前は自社の保険契約者の事故に対しては便宜を図ってほしいとの要望も有ったようだが最近では保険契約者の減少などから保険会社と代理店の力関係も変わり、特定の保険契約者の多い損害保険代理店であっても保険会社が特別に便宜を図ることは難しくなった。そんな中この会社には損害保険会社から延べ37人が出向されていたことから何か特別な便宜が図られていた可能性もあるのではないか?

損保ジャパンからのようだが損保ジャパンは安田火災にいくつかの会社が合併して生まれた会社で、以前、安田火災は業界ではやくざ火災と称されることもあり、業界のルールを無視するような無理な営業活動をしていた時代も有ったようだ。今回の件にその会社の体質が影響を及ぼしているのかどうかはわからないが?

特定の自動車販売店の不正が毎日毎日テレビで報道されているが保険金の不正請求は簡単にできるものでないように思われる。保険金の不正請求は保険金詐欺となり刑事事件となるが今後、保険会社から被害届や刑事事件としての告訴はされるのだろうか?

特定の自動車販売店の報道が保険金の不正請求から不当な販売方法や過剰整備までになっているようだが、保険金の不正請求は事故当事者に加えて双方の保険会社に修理業者があり不正が難しい。一方で、不当な販売方法や過剰整備は消費者と業者の二者間での取引であり、消費者側は常に弱い立場に立たされる。

消費者を保護する観点から優先して報道するのは、事故車の非表示、走行距離の巻き戻しなどや車検時に問題の無い部品を交換されてなど古くから存在する問題であるべき。また報道するのであれば特定の業者ではなく業界全体でなければ消費者保護はできない。

保険金の不正請求はあってはならないことでありこの特定の自動車販売店の不正は正されるのは当山だが、特定の会社だけを叩いても自動車業界に多く存在する問題が正されることには繋がらない。

にもかかわらずテレビは何故この特定の販売店だけを叩き続けるのか?

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