自動車 職権抹消
通常の抹消登録は所有者が使用している自動車を任意で抹消登録しますが、職権抹消は国が職権により自動車を抹消することを言います。分かり易く言えば国が強制的に職権を使い、当該自動車の所有者の意思に関係なく抹消登録をすることになり強制抹消とも言われています。
よくあるケースとしては継続車検を受けず車検切れの車が長く登録されている場合などがあります。車検切れの車両は期をまたいで半年くらいが経過すると地方税である自動車税の課税が切られます。この場合は未課税期間の自動車税を納税すれば継続車検を受験して再使用をすることができます。
車検が切れて自動車税が課税されなくなった車両をそのまま登録しておくと、数年くらいを経過後に職権により抹消されることになります。これが職権抹消をされる一つの理由になります。
この場合は自動車検査登録事務所(車検場)で継続車検の申請をする前に抹消がされた状態から登録をする手続きが必要になります。自分でユーザー車検を受験するのであれば継続検査の前にその手続きの方法を登録窓口で教えてもらえます。車検業者に依頼するのであればそれに必要な書類を通常の車検書類を合わせてその業者へ提出します。
抹消車両の再登録と継続車検には大きな問題はないのですが、抹消登録されていた期間に課税されていなかった自動車税を再課税にする場合には抹消登録されていた期間分が再課税されるところにあります。
通常、職権抹消でなくても、車検が切れて課税が打ち切られると毎年5月ころに届く自動車税の納付書が来なくなります。この車検切れの車両を再課税にする場合は未課税期間分の自動車税も併せて課税されます。そのため、再課税をした時を基準に未課税期間分に延滞税が付きます。延滞税の税率は高税率になり、自動車税が高額な車両では未課税期間の未納税と延滞税を合わせると数十万円となる場合もあります。
この場合には各都道府県の県税事務所に職権抹消で登録が抹消されていたことを伝え、自動車税の課税に関する相談が必要に思います。
職権抹消されていない状態で、車検が切れて課税が打ち切られた車両を継続車検を受けて再使用をする場合は、課税されていた期間の自動車税を支払っていて、かつ延滞金がないのであれば、当該車両を抹消登録し、中古新規登録することで未課税期間とその期間の延滞金の課税はされなくなります。
その他の職権抹消には違法改造で道路交通法に定めるところの回復が困難な車両や使用目的を偽って登録された車両などがあります。
違法改造車は適合証明のない社外マフラーや外装部品の取付などがありますが、これらは純正部品に取り換えるなどで原状回復ができますが、ボディの骨格部分を大きく改造している場合などは原状回復が困難とみなされ職権抹消されることがあります。
例としては、乗用車の屋根部分を自らのこぎり(金鋸)で切ってオープンカーにしてしまった場合などでは原状回復は困難に思います。その理由としては、乗用車のボディ構造は飛行機と同じでフレームが無いモノコック構造のため、屋根を切ってしまうと車体全体でボディ剛性を保つモノコック構造のバランスが崩れます。今ではそういう改造をしている車はほとんどないとは思いますが....
使用目的を偽って登録された車両では、白ナンバー(自家用登録)での営業行為(運賃を目的に運行)をする場合などがあります。この場合では営業ナンバーを取得しての営業をするように自動車検査登録事務所から促されるようですが、それに従わず白ナンバーで営業行為を継続していると職権により当該車両が抹消登録されてしまうこともあるようです。