自動車税の月割課税と月割還付
令和4年度の与党税制改正大綱では自動車税の月割り課税と月割り還付の現行制度が維持されることになった。
地方税である自動車税は4月1日現在の名義人に年額が課税され各都道府県から軽自動車の場合は市町村から5月に自動車税の納付書が送られてくる。軽自動車の場合は月割り納付は無いので年度の途中で登録した場合には課税されない(新車、中古車でも扱いは同じ)。また登録を抹消して税止めをしても未経過期間の自動車税は還付されない。それ以外では新車、中古車に限らず登録時に未経過期間(年度末である3月までの期間)が月割り課税される。また、抹消登録した場合には未経過期間分が月割りで還付される。
令和4年度の与党税制改正大綱では自動車メーカーからここ数年にわたって新車購入時に限定した月割り課税の廃止が要望されていた。これは新車購入時だけ月割り課税が廃止され中古車の登録時には月割り課税が維持されることになり、中古車業界の反発を招くことと税公平性の観点から新車登録時に限定した自動車税の月割り課税の廃止は見送られた。また、抹消登録(廃車)した場合の月割り還付が無くなる恐れがあるとの指摘もされた。
それにしても自動車メーカー要望する「新車の登録に限定して月割課税が廃止される」は新車の販売促進の為という趣旨は分かるが随分身勝手な要望ではないか、自動車の税制は単に新車の販売促進のためにあるのではない。EVの普及などに優遇税制を適用するのは理解できるが、この新車優遇策は自動車メーカーの私利私欲でしかなく、税の公平性からも問題でしかない。普通車は軽自動車に比べて自動車税の桁が違うので月割り制度を廃止した場合には自動車税の税収が大きく凹むことからそもそも月割り制度の廃止は無理がある。従来からの自動車税の月割課税と月割還付が公平性を担保していて現実的に思えます。
他には消費者から仕入れた中古車について帳簿方式による仕入れ税額控除が継続された。これは買取や下取りで消費者から仕入れた中古車の仕入れ額の内10%を仮払消費税として処理できることになる。もっと分かりやすく言えば当該の中古車の売り上げに掛かる消費税(仮受消費税)から仮払消費税を控除することが出来るため、仮受消費税と仮払消費税の差額を納税することが出来る。もし消費者が個人でありインボイス制度の対象外の場合で仕入れ帳簿方式による税額控除が無ければ、仮受消費税の全額を納税することになる。
今後は電気自動車の普及に併せて自動車関連の税制は走行税などを含めて大きく変わっていくようです。