中古車販売 簡易課税

通常、自動車販売店はその商品である自動車の販売単価が高額である為、消費税は本則課税となるのですが、個人でオートオークションの会員となり、副業として単価の低い中古車を年間に数台程度販売し売上高が1000万円以下の場合では免税事業者を選択しているケースもあるようです。

インボイス制度が始まると中古車販売事業者のほぼ全てが納税義務を負う事業者となります。ほぼ全てというのは個人から仕入れて個人に売るという形態だけで営業することは有りえず、中古車を取り扱うにはオートオークションへ加盟することが必須となるからです。適格請求書発行事業者登録番号(インボイス登録番号)のオートオークションへ通知し、その後に売上高が1000万円以下の小規模事業者は本則課税か簡易課税を選択することになります。

簡易課税

中小事業者の納税事務負担に観点から課税売上高が5,000万円以下の事業者は簡易課税を選択することが出来て、売上げに係る消費税額に、事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、売上げに係る消費税額から控除することになります。小売り業である中古車販売店は事業区分が第2種事業となり、みなし仕入率は80%となります。

消費税の納税額は仮受消費税(売上に係る消費税)から仮払消費税)(入れに係る消費税)を差し引いたものであり、例えば、売上高が1000万円の場合は仮受消費税は1,000,000円、みなし仕入率を適用した仮払消費税は800,000円となり差額の20万円が納税額となります。

仮受消費税 売上10,000,000 X 0.1(消費税率10%)=10,00,000円

仮払消費税 売上1,000,000 X 0.1X (みなし仕入率80%)=800,000円

納税額       10,00,000円(仮受消費税)ー800,000円(仮払消費税)=20万円

今まで消費税の納税が無かった個人で副業的に中古車販売を営む事業者にとっては20万円の負担は大きなものになるのではないでしょうか。また、みなし仕入率を適応した簡易課税はその年度の粗利率や間接経費などの内訳が反映されず納税額が計算されるため、納税額が実態に見合ったものなのか本則課税と比較検討してみる余地があります。

本則課税

簡易課税に対し本則課税を選択した場合では仕入れに係る消費税に限らず、支払った全ての消費税が仮払い消費税になり、売上に係る消費税(仮受消費税)から差し引いた額を納税します。

仮受消費税 売上10,000,000 X 0.1(消費税率10%)=10,00,000円

仮払消費税 中古車の仕入れに加えて家賃、電話や宅配便などの通信費、事務用品、電気などの光熱費、外注費、その他支払った消費税の総額

納税額 (仮受消費税)ー(仮払消費税)= ?

売上高10,000,000で本則課税を選択した場合は個々の状況により仮払消費税の額が大きく異なりため「?」としました。

消費税は消費者が支払ったものを一時的に預かっているものとして納税を遁れることは出来ないため、家賃や給与なのの間接経費で事業年度が赤字でも支払うことになります。故に小売りでの簡易課税はみなし仕入れ率を80%として計算するだけなので赤字でも黒字でも消費税を納めることになります。

対して本則課税の消費税の納税額 は(仮受消費税)ー(仮払消費税)となる為、事業年度の粗利率や間接経費の増減によって納税額が大きく左右されることになります。

車両単体での消費税納税額の計算

・売上1,000,000円 仮受消費税 100,000円 仕入れ800,000円 仮払消費税 80,000円 粗利率80%の場合

仮受消費税(100,000円)ー仮払消費税(80,000円)=20,000円(納税額)

・売上1,000,000円 仮受消費税 100,000円 仕入れ900,000円 仮払消費税 90,000円 粗利率90%の場合

仮受消費税(100,000円)ー仮払消費税(90,000円)=10,000円(納税額)

更に在庫処分を多くしたことなどで車両販売の粗利率がマイナスになったり、大きな設備投資をした場合などでは(仮受消費税ー仮払消費税)がマイナスとなり消費税が還付になることもあります。(輸出売上の場合は不課税となり仮受消費税がない為、仮受消費税分は還付となります)

最後に

中古車の販売形態はオートオークション代行で手数料のみを売り上げにしているケースや、仕入れて利益を上乗せして売るケース、輸出しているケースなど様々あり、一概に簡易課税がいいのか、本則課税がいいのかは言えないようです。オートオークションへの適格請求書発行事業者登録番号(インボイス登録番号)の通知期限が2023年10月と迫るなか、一度本則課税を選択した場合の納税額を計算し、簡易課税と比較してからどちらを選択するかを決めたほうが良さそうです。

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