乗用車の職権打刻

通常、乗用車の職権打刻は少量輸入された車の場合以外にはあまり例がないように思われます。

現在の乗用車の構造ではハシゴフレームの入った乗用車は存在せず、鉄板を組み合わせたモノコック構造のため、大きな事故でも損傷を受けないようなカウルパネルなどの部品に車台番号が刻印されています。

そのため、もし車台番号が刻印されている部分が損傷を受けるような事故車の場合には、仮に修理をしたとしても経済的にみあわない修理代になるため、修理がされずに解体され部品として販売されると思われます。

以前にはオートオークションに職権打刻された高年式のランドクルーザーが多く出品されていた時代がありましたが、これらは盗難車であることが輸出される前に発覚し、持ち主に取り戻された車になります。

この場合には元の車台番号が張り替えられていて、もとの車台番号に戻すことが出来ないために、職権打刻で新しい車台番号を打ち直し、その車台番号で登録されます。

自動車の盗難が社会問題化し、その取締が強化されたため輸出出来なかったそれらの車が職権打刻車としてオートオークションに多数出品されていたと思われます。

盗難車が社会問題化していた頃には現在のような輸出抹消登録証の原本は必要なく、また輸出通関の規制緩和により抹消登録原本ではなくそのコピーで輸出が可能でした。抹消登録がない場合には現在登録やオートオークション計算書でも通関が可能でした。

そのため一つの車台番号を多くの車に貼り付け、同じ車台番号の書類を何度も使って多くの同型車の輸出通関をしているケースが多くありました。

車台番号の数字やアルファベットの書体は通常ある書体ではないため、書類に合わせて打ち直すことは難しく、他の車両から切取ったものを溶接で張り付けていたと思われます。

その当時は港にこのような車が多数あり、車台番号を張り換えられた車を見分けることは誰にでも容易なことでしたが、税関検査はランダムに検査車輌を割り出して行われるため、それをすり抜けて輸出されていたようです。

現在でも盗難者の被害は多くありますが輸出抹消原本の通関時の提示のがあるため、盗難車の車両本体での輸出は難しく、それらは解体されコンテナで部品として輸出されているようです。



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